Lyri*Cache

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消すなよ、絶対に消すなよ って話-ライト/オフのこと-

huluを退会してしまったので、気楽に映画を見る環境ではなくなってしまったのですが、時々仲間内で鑑賞会を開きます。決められた映画を決めた時間に同時に再生してチャットでわいわい感想を言い合いながら見る。楽しいです。7月は絶賛夏のホラー祭り中。

先日見たのはこれ。

ライト/オフ(吹替版)

ライト/オフ(吹替版)

 

 

あらすじ

レベッカはある日、離れて暮らす幼い弟から思いもよらない話を聞かされる。「電気を消すと、何かが来る。」“それ”は一体何なのか?なぜ彼女たちを襲うのか?やがてレベッカたち家族に隠された恐ろしい秘密が明らかになる時、史上最恐の一夜が幕を開ける―!

感想

暗闇の中でしか活動できない『何か』に襲われる、というシチュエーションはホラーゲームっぽいな、と思ったんですが、元ネタはショートフィルムらしい。


Lights Out Who's There Film Challenge 2013

これはこわい。ショートショートらしい要点を押さえた演出と、ぶつっと切られてどうなったのかがわからないオチ。このショートフィルムに出演している女優さんは、映画の冒頭で主人公の義父の同僚役で出てきます。

こういうショートフィルムの良作を引き延ばした映画というのはイマイチな出来になることが多い印象ですが、ライト/オフはなかなか楽しめました。90分程度の短い映画なので、中だるみがなく、サクサク話が進みます。サクサクすぎて物足りない、という人もいるかもしれませんが私はこれくらいスピーディーに進むほうが好み。飽きないので。

闇に潜む襲撃者の正体も中盤ではっきりと判明しますが、なんというかこう『それは無理あるんじゃない?』という感じの設定。彼女がこうなってしまった原因の事故が何が起こったのかよくわからない…というか『そんなことありえるの?』という状況なのはまあご愛嬌としておきましょう。

襲撃者も怖いですが、それよりも怖いのが主人公の母親。もともと精神的に不安定な人らしく誰もいない(はず)の暗闇に向かって一人で喋っていたりします。こわい。明らかに狂人というよりは、話が通じる時と通じない時がある、というのがリアルで怖い。

一方襲撃者はモンスター的な外見をしているにもかかわらず、しっかりと知性が残っているらしく、主人公たちをおびきよせて暗闇に閉じ込めるなど狡猾です。でもいただけないのは『言葉を話す』こと。

幽霊やモンスターやビザールの何が怖いって『意思の疎通ができない』ことじゃないですか。ディスコミニケーション、というのは恐怖につながります。でもこの襲撃者、喋ります。吹き替えで見たけどお化け屋敷的な間延びした声で脅かされてもねえ…これから見るよ、って方には字幕版をおすすめします。英語なら多少滑稽さも軽減される、かも。

主人公と恋人は一見素行不良でろくでもない人間に見えますが、主人公は行動力があり、弟にも優しい女性で、彼氏(?)も彼女のことを信じて命を危険に晒せるいい男でした。これはいい誤算。最初『こいつら真っ先に死ぬのでは』って思ってごめん。

何より弟があの問題のある母親と二人で暮らしているせいなのかとてもしっかりしていて頭のいい子な上に健気です。かわいい。

登場人物たちに皆好感が持てる稀有なホラー映画でした。ラストは物悲しいけどそれもまたホラーらしくてよい。気軽な気持ちで見始めましたが、なかなかの当たりでした。

 

暗闇って、人間の本能的な恐怖を掻き立てるものだと思うんですよね。
暗いのは、怖い。そんなシンプルな恐怖を最大限に味わわされる作品でした。
だって考えちゃうもんなあ。明かりを消した時に、『何か』が見えたらどうしようって。

総合点数:★☆