Lyri*Cache

好きなものを好きなように。

時をかける美味しい青春の話-だんだらごはんのこと-

こと、偏食なことに自覚のある私ですが、ご飯が美味しいというのは幸せなことです。
美味しいご飯があればこそ、日々どっこい生きている。
それはきっと、今も昔も変わらないんじゃないかなあ。

だんだらごはん(1) (KCx)

だんだらごはん(1) (KCx)

 

普段あまり漫画は買わないのですが(買うと際限なく増えるので自重している)試しに読んで見たらこれは紙で欲しいな、と思える作品だったので久々に漫画を買いました。表紙ののふわっとした優しい色合いがとても好きです。

あらすじ

江戸の貧乏道場・試衛館に集う沖田宗次郎と山口一は、食の好みも性格も正反対だが、なんとなくつるむ仲。そんなとき、沖田の師・近藤勇を元気づけるために「玉子ふわふわ」という料理をいっしょに作ることになり…!?pixivコミックランキング上位常連の話題作!おいしいごはんを通して等身大の新撰組隊士たちを描く、優しくて切ない青春ストーリー!

 

pixivコミックで連載されているので、こちらで試し読みできます。
comic.pixiv.net

『ごはん』成分

新撰組のお話なので、時事系列に沿いつつ(創作も交えつつ)物語は進んでいくんですが、『だんだら』で『ごはん』なので、毎回何かしら料理が出てきます。これが当時の食生活を垣間見るようで興味深い。そしておいしそう。すごく大事。おいしそう。

『食』って人としての営みの根幹部分であり、一つの文化であり、その人の人となりや時代の空気を知るのにとても重要な要素だと思います。

「ふだん何を食べているのか言ってごらんなさい、そしてあなたがどんな人だか言ってみせましょう」というのは美食家・ブリア=サヴァランの言葉ですが、食べることすなわち生きることですから、食を知ることはその人の生き方を知る方法のひとつなのかもしれません。

そして何より、食べ物の話は、楽しい。

元気でかわいい男の子たちがご飯を美味しそうに食べてるのってそのコマだけで幸せになれるじゃないですか。癒し。

『だんだら』成分

後の新撰組面子の描き方も、ステレオタイプな部分もありますが皆とっつきやすくて好ましいです。身内に困った人、はいても悪人はいないというのはほっとします。

自由奔放で無邪気でパーソナルスペースの狭い沖田くんと、真面目で常識人でちょっと神経質な一くんの掛け合いは見ていて微笑ましい。土方さんはわかりにくいけれど面倒見のいい男前だし近藤さんはどこまでもいい人です。あれで皆剣の腕が立つっていうんだからずるい。はあ、好き。

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【第1話 玉子ふわふわ より】だいたいこんな感じに近い。とてもかわいい。

 

しかしただほのぼのしているだけというわけではなく、少しずつ幕末の動乱が近づいてくる不穏さや、身分の差というどうしようもない壁や、人の生き死にも描かれます。
(特に1巻ラストの急展開。生きる、というのは何かの命を奪うことにほかならず、ごく当たり前で普通だと思っていたそれが特別なことだと気づく場面は胸が締め付けられます)

1巻では京都への出立までが描かれ、pixivコミックの最新話では何やらきな臭い展開に。問題は山のよう。8月発売の2巻が楽しみです。描き下ろしも収録されるそうですし。

まだ『何者でもない』青年たちが、食べて悩んで笑って泣いて、それが魅力的じゃないわけないじゃないですか。未だ道の途中、腹が減っては戦はできないし、生きているからこそ、ご飯は美味しい。

ありがたく、いただきます。

 

新撰組とご飯といえばこっちも気になる。

 少女漫画は普段あまり読まないんですが、斉藤一がパン作ってるってだけで気になります。
今度読んでみようかなー