Lyri*Cache

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純文学がロックする話-Plastic Treeというバンドのこと-

Plastic Treeというバンドが好きです。
バンド結成から20年以上という年季の入ったV系バンドなのですが、いまいち知られていない気がします。誰?って聞かれることも多いです。
概要はWikiなんか見てもらうとして、とりあえず公式チャンネルのPV貼っておくので興味のある方は是非ご覧になってみてください。こういうバンドです。


Plastic Tree/マイム【MUSIC VIDEO&SPOT】 - YouTube

マイム(通常盤)

マイム(通常盤)

 

 学生時代から好きなバンドなのですが、週末5ヶ月ぶりにライブに行ってきました。
楽しかったーとても楽しかったーおかげさまで下半身の筋肉痛がすさまじく、まったく機敏に動けないので、今天変地異が起こったら確実に逃げ遅れます。
今回中盤に大好きな泣かせ曲を連続で演奏されたので大変満足です。
梟からのサナトリウムからのムーンライト----。はずるい。

私がプラを好きな理由は、とにかく、歌詞が美しいということ。
アルバムに『純文学がロックする』という帯をつけられたことがあるくらい叙情的で美しいです。
特に好きなのは有村竜太朗氏の歌詞です。詩集が欲しい。ポケットサイズの。
V系の歌詞というと、ドイツ語やフランス語が乱舞していたり、小難しい漢字が並んでいたり、というイメージがあるんじゃないかなーと思うんですが、プラの場合はそういう歌はほぼなく、むしろ日本語でも難しい言葉はほとんどない、と言ってもいいと思います。
それでも、美しい。時にどろりとした生々しい感情を歌っていたりもするのに、美しい。

ぼくらはね、忘れていくから覚えていてね。黒猫よ。くちづけでおぼろげな愛を証明してく二人なの。 (うつせみ)
最終系の感情論で君に伝えたいことがあります。僕らはみんな誰かよりもちょっとだけ幸せになりたいの。 (梟)
楽しすぎたから 喋りすぎたから 今度は黙って世界の音に耳を傾けた 公園の奥の消灯している博物館で剥製たちは永遠の夢を見てる (ライフ・イズ・ビューティフル)
話したいことがたくさんあった 生まれ変わるなら君になりたいな (真っ赤な糸)
 
目で見ても、口に出しても美しい。これが音に乗ると本当に切なくてどうしようもないのです。
何より有村さんは感情の表現がとても巧みで、「別れてしまう寂しさ」を『内容が失われますが、消去してもよろしいですか?』という携帯の確認メッセージのフレーズだけで表現したり、「一緒にいるのに寂しい」というやるせない、儚い思いを『舞ってる雪は積もりそうにもない』という情景描写だけで表現します。これが直接的に寂しいとか哀しいとか言われるよりもずっと重く響く。
初めて聞いたときは衝撃的でした。
感情表現のみならず、花の名前もたくさん登場します。V系といえば、で想像される薔薇や百合ではなく、針槐、鳳仙花、フリージア、ガーベラ、桜、シオンなどなど。そこに色や光の表現が乗る。歌詞を読んで脳裏に浮かぶのは、日常の、けれど繊細で美しく、同時にどこか切ない世界。少しレトロでざらついたこの世界観が大好きです。

ライブには基本的に体を動かしに行っています。
音に合わせて跳んだりはねたりするのはとても楽しいです。日常では髪の毛振り乱して踊ることなんてまずないですし。
最初に貼ったマイムも、ライブだとほぼ全編跳びっぱなし踊りっぱなしのハードな暴れ曲になります。ちょうたのしい。大好き。
でもふと、ライブ中にムーンライト----。を聞いていて私はこの物語を有村さんの声で語って欲しくて、それを聞きたくてライブに来ているのかもしれない、と思いました。
何度も聞いてるんですけど、何度でも聞きたい。
プラの歌はお気に入りの本に似ています。

有村さんの書く歌詞のことばかり話しましたが、当然四人でプラ、というバンドだと思っているので、他のメンバーのことも大好きですし、最近は有村さん以外が書いた歌詞の曲も増えてきて面白いです。
中山さんの歌詞が一番V系っぽいと思う。漢字多めでモチーフ暗め。誰が書いたか一番分かりやすい。
歌詞云々抜いても、この四人がわちゃわちゃバンドをしているのを見に行くのが最高に幸せなので、末長く活動していただきたいです。
毎年ライブもたっぷりやってくれるし、CDもコンスタントに出してくれる良いバンド。恒例年末公演も発表されましたし、楽しみです。コンセント。が聞きたいなーだめかなー無理かなー